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ARTIST'S STATEMENT
絵画を見るわたしたちは、同時に絵画からも見つめ返されている。
そこにあるのは、固定された「見る/見られる」という関係ではない。吸う息と吐く息が分かちがたくひとつであるように、鑑賞者と絵画のあいだには「呼吸」に似た往還が生まれている。
この呼吸の只中で立ち現れるのは、言葉や判断になる前の、世界とわたしがまだ分れていない状態、いわば「主客未分」の瞬間である。わたしはその瞬間にこそ、絵画の本質的な可能性があると信じている。
描くという行為、空間、光、時間、そして記憶。それらは個別に存在するのではない。互いに対立し、矛盾を孕みながらも、ひとつの大きな連関の中で互いを包み込んでいる。それらすべてが未分のまま結ばれるとき、そこには主体と客体を超越した「場」が立ち上がる。
わたしが描こうとしているのは、そのような場を呼び起こす絵画である。
その場は、絵の前に立つ「あなた」という存在によって、はじめてこの世界に現れる。
中屋敷 智生

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